【おしらせ/その2】第7回カクヨムWeb小説コンテスト

コンテスト

急遽でアレなんですが、知る人も少なかった私の作品、通称「剣の少女」をリメイク(まぁ、ちょっとだけね)して、カクヨムコン7に新作として投稿・参戦します。どうぞよろしく。

剣を携えた呪われた少女は、彼女と幾億回も巡り逢い、幾億回もの恋をする。―創世のスカーレット―(一式鍵) - カクヨム
想い人に近付くほど、私は世界を壊してしまう。宇宙はあまりにも、儚い。

というのは、ちょっとひさしぶりに(1年半ぶり?)読み直して「あれ? これいけるんじゃね?」とか思ったからです( ・`ω・´) まず百合。百合です。主人公のスカーレット(大剣ぶんまわす16歳美少女(自称))は、愛する人と巡り逢っては別離してしまう運命の下に生きています。その愛する人と再び巡り逢い、二度と別れなくてすむ世界――それは今ある世界が滅ぶという前提にある。

主人公は基本的にノーテンキですが、物語はガツガツと血生臭く進みます。ただし百合成分多め。まぁ、そんな世界をですね、味わってみてもらえませんかね? という話です。

ちなみに第0話はこんな感じ。

「剣を携えた呪われた少女は、彼女と幾億回も巡り逢い、幾億回もの恋をする。」

想い人に近付くほど、私は世界を壊してしまう。宇宙はあまりにも、儚い。

第0話:迎撃戦

 また故郷を失うことになる? 冗談じゃない、そんなことがあってたまるか。

 私は歯を食いしばって大剣クレイモアを振り回し続ける。大量のゼタが、倒されては黒霧と化して消えていく。私の周囲には多くの死傷者が倒れているのだけど、助けるほどの余裕なんてない。津波のように押し寄せてくるゼタ。人のようであったり、狼のようであったり熊のようであったり、意味のわからない形であったり。とにかく色々な姿形のゼタが、炭鉱から溢れてきた。

 ゼタはゼタを呼ぶ。ゼタは、ただ本能で人を狩る。

 私たち狩人はゼタを狩る。ゼタの一匹一匹は大したものじゃない。だけど、今回は相手の数が多すぎた。あまりにも、多すぎた。

 この事態を引き起こしたあの男は言った――この世界は擬物まがいものだと。だけど、それがどういう意味なのか、考えていられるほど暇じゃない。黄金に輝く大剣を振るう度にゼタは一匹消える。しかし、三匹は追加されてくる。逃げ遅れた人々が食い散らかされ、助けに入った狩人もまた狩られる。

 せっかく辿り着いた場所なのに。あいつらに邪魔されない、快適な町だったのに。

「スカーレット! もう潮時だ!」

 最も頼れる狩人仲間、サレイが怒鳴る。私は燃える町を振り返って、怒鳴り返す。

「でも、まだ人が!」
「俺たちだって限界だ。できるこたぁやった」
「だけど、町が!」
「町は人がいればすぐできる。だが、死んだら何もできやしねぇよ」

 サレイの言う通りだ。サレイは巨大な盾でゼタを殴り倒しつつ、私のそばまでやってきた。黒い重甲冑に盾、幅広の重量剣を持ったサレイは、ゼタの攻撃をものともせずに血路を開いていく。私も負けじとゼタを切り捨てていく。

『ちょっとあんた! もっと丁寧に戦えないの!?』
「うるっさい、ちょっと黙ってなさいよ!」

 こんな時にもこの剣に宿っている精霊はうるさい。すこぶる絶好調にうるさい。おかげで危機感が台無しだ。

「あんただってゼタたくさん倒せて嬉しいでしょーが」
『取り回しが乱暴だっつってんのよ! アタシはこう、もっと繊細なんだから丁寧に扱いなさいよ!』
大剣クレイモアに宿っておいて何言ってんのよ。これはガーッとやってバキーッてやる武器でしょーが!」

 私たちの口喧嘩はいつものことだ。いつもどおりだ。

 ただ、状況が異常だ。結構な修羅場をくぐり抜けてきた十六歳美少女とは私のことだけど、こんな数のゼタは見たことがない。今日日、都市がゼタに滅ぼされるなんて珍しい話でもないけど、それにしたってこの数は異常だと思う。周辺都市まで一気に飲み込んでしまえるほどの数のゼタだ。ゼタは周囲のゼタを呼び集める習性があるから、一箇所にいる数が多ければ多いほど、ゼタは更に集まってくる。そうなると、周辺の都市もまた、私の周囲にいるゼタと、都市の周囲から集まってくるゼタに挟み撃ちにされる可能性が高い。

 そうなれば死者は万単位にはなるだろう。それを止めるためにも、少しでも減らすためにも、今ここで無尽蔵に湧き出てくるゼタを一匹でも減らしておく必要があった。避難している町の人たちのところに辿り着く数を一匹でも減らさなければならない。

「ちょっとあんた、なんかこう、ドカーンってやってズバーって一気に倒せるような技とか無いわけ? 何のための精霊よ」
『あんたねぇ、精霊を何だと思ってるのよ! それにそもそもそんなのは美しくないわよ!』
「あー、ほんと役に立たないヤツ! 口ばっかり達者で!」
『何よ、アタシがいなければそんな甲冑よろいとこんな大剣つるぎ、持ち上げることもできないくせにー!』

 ……それは事実かもしれない。だけど、この巨大な剣を選んだのは、誰あろうこの(ムカつく)剣の精霊様だ。鎧の方は、確かに私の一目惚れだったんだけど。限定品だったし。

「口喧嘩は良いけどさ」

 サレイは軽々とその重量片手剣を振り回しながら呆れたように言った。

「状況はどんどん悪化してるんだぞ」
「そ、そうだね」

 私は退路を確保すべく動き始める。ゼタの大河のど真ん中にいるような格好になっているので、進むも戻るも地獄――というが唯一確かな情報だ。

「ラメルとジルは?」
「あいつらには避難誘導に徹してもらってる。まずはあいつらと合流しないとどうにもならない」
「わかった」

 私はゼタの大河の上流を振り返る。その無数のゼタの中に、黒いローブの男がいた。ゼタは彼を襲わない。まるで見えていないかのようだ。

「あいつ……!」
「スカーレット! ほっとけ! 今は撤退が最優先だ」
「……わかった」

 黒いローブの男の顔は炎の逆光になっていて見えない。

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