さて、今回は、カクヨム掲載全125,000作品のうち「完結済み」の以下のジャンルの「長編(8万文字~)」のみを抜き出したデータにて、「1話あたりの理想的な文字数」を算出してみました。対象ジャンルは以下の通り。
- SF
- 異世界ファンタジー
- 現代ドラマ
- 現代ファンタジー
- ホラー
- ミステリー
- ラブコメ
- 歴史・時代・伝奇
- 恋愛
対象作品は8,290作品ありました。まだ1万いかないんですね、長編。がんばろう。
さて、分析結果です。
区分 | 該当作品数 | 1話当たりの文字数(中央値) |
★250以上 | 169 | 3,227 |
★100以上 | 578 | 3,341 |
★100未満 | 7,712 | 3,752 |
★50未満 | 7,095 | 3,808 |
★1桁 | 4,509 | 4,186 |
今回の分析は「中央値」を取りました。「平均値」だとこのような統計の場合意味を為さないことが多いので。たとえば、★250以上の作品は169作品ありますが、このうちの85番目に文字数が多い作品がちょうど真ん中ですよね。なので、3,227という数値は、その85番目の作品の文字数ということになります。
「中央値」や「平均値」については統計でよく使う言葉なので、覚えておきましょう。平均出せば良いってものじゃないのです。今回のような統計の場合は、明らかに「中央値」の方が有効です。例えば平均で出すとこんな数字になります。
区分 | 該当作品数 | 1話当たりの文字数(中央値) | 平均値 |
★250以上 | 169 | 3,227 | 3932.9 |
★100以上 | 578 | 3,341 | 3871.7 |
★100未満 | 7,712 | 3,752 | 7174.5 |
★50未満 | 7,095 | 3,808 | 7461.0 |
★1桁 | 4,509 | 4,186 | 9075.0 |
極端に文字数が多い作品が混じっていると、一気に「平均値」は崩れます。政府や機関の発表でも、ここを見誤る人が多いですし、マスコミはこういうところでミスリードを誘います。平均と中央にはこのような乖離があることを知っておいた方が良いでしょう。
さて、ともかくも大事なのは「中央値」です。
ザックリ見てみると、上位作品から下位作品に行くに従って、文字数が増えています。★100の境界線が3,500文字弱。そこからは明らかに文字数が多いです。平均値も参考までに見てみると、★1桁では約9,000文字と、明らかにWeb小説の体裁を成してない作品が多いことが推測されます。9,000文字が10話とか、読む側の気持ちも考えましょう。手軽さがない(しかし、後述しますが、それでもウケている作品はあります) 9,000文字、10,000文字を1話にするというのなら、冒頭から恐ろしく高いテンションを維持し続ける必要があります。人間、小さなスクロールバーを見るとげんなりしますからね。
ということで上位作品によって示されているのは、「1話3,500文字以内に収めよ」ということになります。ジャンルによって異なる傾向はあると思いますが、総論として、この「1話3,500文字以内」というのは正しい結論かと思います。とはいえ、「1話1万文字」以上の★250作品もなんと9作品もあります。なので、絶対に「3,500以上ある作品はダメ」というわけではありません。重ねて言いますが、3,341文字という数値は中央値。約290作品についてはそれ以上の単話文字数だということになります。
が、もし文字数(ヤマやヒキの関係)で悩んでいるというのなら、この3500文字を目指して構成するのが良いですね! とすると10万文字で約30話構成になりますから、その中で起承転結なり序破急なりを構成すればOK。
3500文字で1ユニットを構成する……を先ずは目安にしてみると、もしかすると読者が逃げないかも! そんなところで逃がしてられませんからね。がんばりましょう!
今回の記事は参考になりましたでしょうか。
それでは良き執筆ライフを!
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