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小説を書く手が止まった時

エッセイ

小説なんかを書いてる人だったら一度や二度は体験していることだと思うのですが、「どうしても手が進まない」なんて時がありますよね。普通のブログだとこういう時は「筆が止まったときにすること三選!」なんてやったりするんですが、私はダラダラ書きます(笑) だって、「○選」とかおかしいじゃないですか、実証実験もしてないのに。

現実世界をしっかりと考える

根本原因は現実世界にある

まぁ、そういうアプローチですと、できることといえば私自身の経験のお話になってくるわけですが、見直すべきポイントがいくつかあると思います。「筆が止まる原因」を考えるのが一番先かなと。人間、小説の世界に生きているわけではありませんから、まず根本のところで「現実世界」に原因がある可能性があります。というか、私の経験則ですと、ほぼこれです。誰かと揉めてモヤモヤしてるとか、彼氏彼女が気になってしまうとか、なにか気が散る要因があるとか……。「小説を書く」という行為はあくまで現実世界の延長です。なので、現実世界にしっかり足を付けておかないと、そこに即する「行為」もまたふわふわしてしまって、結果として集中力を欠きます。

スッキリしてから書き始めるのが大切

そういう時はマズ不安や不満、気がかりな事項を取り払うことに全力を注ぎます。書きたい気持ちはあるかもしれませんが、人間のリソースというのはそんなに多くありません。いわゆる「スッキリしている」状態でなければ、小説へのリソースも不足し、その結果できあがる作品も片手落ち……なんてこともあるかもしれません。どうせ走るなら万全の状態で走りたいですよね。(小説を「読まれたい」「評価されたい」人は)記録をかけて戦うわけですから、その背景・準備運動・体調・メンタル、そういったものをしっかりとしておきたいところ。なので、まずはしっかり現実世界を片付けます。

無駄な時間をかき集める

とは言っても、そう簡単に現実世界の問題が片付くのなら苦労はしませんね。そういう時は、(あくまで次善策として)現実世界を切り離すようなマインドを持つことが大事です。たとえば「21時~24時は小説のことしか考えない」と暗示をかけて、習慣化するんです。時間やタイミングについては各家庭の事情もあると思いますが、2時間や3時間はどうにか捻出できるはずです。もし2時間も自由時間を確保できないという方は、生活リズムの見直しと、体力の確保を考えましょう。無駄な時間をかき集めれば2時間くらいあるはずです。この時に役立つのは視覚化です。一日何をしているのか、どこに無駄があるのかを考えます。目で見えるように作ってみると、案外無駄な時間があることに気がつくはずです。ただし、睡眠時間は削らないように。6時間は寝ましょう(※個人差があります)

無駄な時間が見つけられないという人は、多分小説を書くという余力がない人です。そんな状態で書いたら命が削れます。まずは環境の改善を!!! 仕事を変えるくらいの決意を持って挑まないと、作品も中途半端、仕事も限界、生活も余裕がない……とんでもないことになりますよ! ……私はなりかけました。

私も子育てや仕事で大変ではありますが、通勤時間(行き)で構想を作り(スマホにメモ)、通勤時間(帰り)でどういう文章にするのか考え、家に帰って子どもが寝てから一気に書く、など、無駄にぼんやりしてる時間を作らないようにしています。ぼんやりする時間は必要なんですが、「なんとなくぼんやりする」時間を作ってはいけないのです。

小説の構想を見直す

さて、現実世界の課題が片付いたらようやくこっちの段階です。詰まってしまっている原因というのは、だいたい二つかなと思っています。

構想・プロットに無理がある

もちろん、書き始めるときには「これは面白そう」「これは行ける」と思っているはずです。でなければ長編書き始められませんよね。なんとなく始めてなんとなく完結させられるというすごい方もおられますが、そういう人はまぁ、おいといて。

技量にプロットを合わせるな!

ただ、これは私の持論というか経験論なんですが、「無理な(書けない)構想はない」。どんな突拍子もないようなシナリオであったとしても、書くのに不可能なものはないと思うのです。ただ、想像力や技量が追いつかないだけで。なので、「書きたいもの」を「自分の技量」に合わせるのではなく、「書きたいものをどうやってでも書く」ことに腐心するべきです。

こだわるべきはペース配分じゃない。内容だ。

「一日○文字」とかいう目標をしばしば立てたりしますが、大事なのは「書きたいものを書く」ことですよね。誰も「その人が手癖で書ける程度の作品」なんて読みたくないですよね。その人の想像力、発想力、着目点、そういうものをマニアックに掘り下げたものこそ求められている作品です。有名作家の作品(で売れているもの)はどれもそういう傾向があると思います。通り一遍の作品は平積みさえされず埋もれていくのみです。有名作家であったとしても。まして我々はシロウトです。プロ作家以上に尖った性質(これを「作家性」と呼びたい)が必要です。

なので、「書きたい」と思ったものは堅持し続け、どうやったらその「衝動」を現実化できるか、具体化できるかをひたすら考えます。この時に、前述の「現実世界」での余力が必要になるわけです。重ねて言いますが、自分の実力にプロットを寄せてはいけません。成長もなくなってしまいます。手癖で書いた作品というのは、読者にすぐバレます。マジで。

映像が頭にうかんでいない

2つ目はコレです。私は、小説というのは「文字を通じて映像を作る」手段だと思っています。そこで大事になるのは、「作者の中で映像になっているか」です。それをうまく文章化できるか否かは技量の問題になるので頑張って欲しいところですが(実況中継がうまくなればいいだけです)、ともかく、作家の頭の中で映像化されてない世界を文章にできるかと言うと否です。よしんば文章化したとしても、それが「読者の頭で再変換」できるかというと無理な注文です。出力するべきイラストの構図や色がむちゃくちゃだったりスカスカだったりしたら、出てくるものもむちゃくちゃでスカスカです。棒人間をいくら書いても美少女は出てこないんです。

なので、作家はまず、頭の中で登場人物と舞台背景を完全にモデリングする必要があります。自分の中に映像世界を作るのです。文章にするのはその次の段階です。

舞台と人間が揃えば物語は勝手に進む

人間がきちんと作れていれば、あとはそれぞれの人格が勝手に動いてくれます。もし、これが体験できていないとしたら、作り込みが甘いのです。「〇〇という状況に陥った時、彼・彼女なら何を言ってどうするのか」と考えた瞬間に「こたえ」が出てくるものです。あるいは、登場人物と一緒に悩んでもいい。「こいつら、なにするかわからねー」って時は、好きにさせてみればいいと思うんですよ。人格がちゃんと作られていれば、それっぽく動きます。シムシティですね。

とにかく「作者の影を感じさせないように」「登場人物がしゃべる」のが大切だと思うんですよね。恣意性を感じさせないと言うか。そのためにも、きっちりしたモデリングが必要なんです。理想は全キャラ完全構築ですが、主役級だけでもがっちり作り込んでみましょう。

大事なのは拙速よりも巧遅

プロットやらアイディアやらができたらすぐ書き始めたくなるかもしれませんが、準備8割。書き始めてからのモデリングは非常に効率が悪いので、これでもかっていうくらいにキャラを作りましょう。世界を作りましょう。

もし、書いている手が止まってしまったなら、キャラ・世界の設計に無理や欠陥はないか、きちんと立体視できるように作れているかを振り返りましょう。さきほども書きましたが、「自分(で思っている自分の)技量」に寄せるのではなく、「何をどう書きたいのか」に立ち返るのが先決です。そのために連載が止まろうがどうだっていいのです。読者が求めているのは「良い物語を読んだ」という感想であって「作者連載頑張ったね」という激励をするためではないからです。少なくとも我々シロウトに求められるのは、拙速より巧遅です。良い物語を残すことで、誰かがアクセスし、読み、「充実した時間」を得られるようになります。連載を追ってくれる読者は貴重です。が、彼らに「シロウトワザ」を見せるよりも、「ちょっとまってね」という勇気も必要だと思うのです。

作者が納得いってないものを読者が受け入れるのは苦痛です。基本ブラバ。ブラウザバック。誰の得にもなりません。大事なのは拙速よりも巧遅。Webには最低でも年単位で残ります。どうせ残すならしっかりしたものを。

まとめ

大事なのは以下の三点

  1. 現実世界の余力を作れ
  2. 物語を己の技量に寄せるな
  3. 作品世界を脳内で映像化しろ

こんな感じですが、あくまで私の経験則ですので参考程度にね。

そして宣伝。私のフラッグシップ作品「セイレネス・ロンド」の新章。始まってます!

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