長編小説を書き続けるモチベーション

エッセイ

前回の記事では、小説(「カクヨム」にある「セイレネス・ロンド」ですが)を書く原動力=怒りであると書きました。今回の記事では「怒り」からちょっと離れた内容を書きます。具体的には「長編作品を書き続けるためのモチベーションの維持」についてです。

長編作品を書いてみたい、書いているけどなんか続かない、完成にまで至れない、長編一つ仕上げたら気力がなくなった……そんな人に読んでいただきたい記事です。

小説の発生トリガー

私は常に何かに対して怒っているような人ですが(外からはあまり見えませんが)、小説の原動力が全て「怒り」であるかというとそうではありません。前回の記事でも書いた通り、「怒り→セイレネス・ロンド」「怒り以外→その他の作品」の発生トリガーになっています。

たとえば「カクヨム」で★140個をいただいている「シスターシスター♡双方向性三角関係」なんて、「怒り」とは程遠い感情で書いています。あれは「ノリ」とでも言うべき感情・感覚から生まれた作品ですね。「シスターシスター♡双方向性三角関係」は、「どれだけ(作者が)楽しめるか」を追求した作品です。ポイントは()の中身です。

長編小説を書き続けるモチベーション

ここでタイトルの「長編小説を書き続けるモチベーション」の話に繋がります。

瞬発力のために必要なもの

人間、歯を食いしばって何かを成し遂げるのは大切なことです。ですが、そういう作品ばかり書いてると、死にます。いえ、比喩ではなく、リアルに。怒りばかりを原動力に書いていると燃え尽きます。もちろん、瞬発力はありますし、時として必要なエネルギーではあります。しかし、人間の脳内にある熱量、貯蔵できる熱量には限りがあります。

そのため、「怒り」だけで作品を書き続けるのは非常に困難です。私も「セイレネス・ロンド」を書き上げてから今に至るまで、二年もの冷却期間を必要としています。というより、「怒り」ゲージの蓄積期間かな? 「セイレネス・ロンド」は、私の「怒り」の導火線に次々と着火しながら書き上げた作品なので、本当に消耗しました。ヴェーラ編からマリオン編まで、リアルに二年間が空くのも予想の範囲内でした。というか、本当に8月に連載開始できるのかは謎ではあります。「怒り」ゲージが溜まらないと書けないので。10部作ですからね。大変ですよ、これは……。

長編を書き終えるために必要なもの

さて、『瞬発力』は「怒り」を起源にして生まれました。その一方で『物事を長く続ける』ためには、という点で考えれば、必要となるのは断然「楽しさ」です。というかそれしかない。「楽しさ」「楽しみ」そう言ったものがあって初めて、人は同じ行為を長く続けることができます。その「楽しさ」の基準はそれぞれです。対価(お金)であったり、評価であったり、純粋に好奇心や妄想を満たすためだったり。

つまり、なんらかの「楽しさ」を得られる要素がなければ、基本的には(=我々の大半は)物事を続けられません。何とはなしに物事を始めることは可能です。ですが、続きません。続けられないのです。だから長編を書き始めたはいいけどもエタる人が続出するわけですね。

長編を書くにあたっては、以下の項目について自分に確認すると良いでしょう。

「その物語」は誰のために書いている?

ずばり。

これ、「読者のために書いている」と答えたくなりがちですが、それは誤りです。「読者の方を向いて書く」のはとても大切なのですが、「読者のために書いている」と答えてしまうのなら、それはオゴリです。読み手を「読者」と総称し、あまつさえそのニーズを把握している気になっているだけです。いわば「その他大勢」にまとめているわけです。失礼な話ですよ。そんなぼやけた答えをしているうちは、読者は振り向いてはくれないでしょう。

この問いに対する正しい答えは「私のために書いている」でしょう。「私」を満たすために書いている。読者の方を見ながらも、「まず一番に楽しむのは私だ」と思っていなければ、結局のところ「私」すら満足させられません。作者一人満足させられないようなものを誰が手に取るでしょう。「私」を満足させられる作品が作り出せてから、ようやく「読者」と呼ばれる個人が一人二人と満足し始めることができる。「自分すら満足させられねぇ奴が、他人をどうこうしようだなんて烏滸おこがましい」というわけです。

そして何より、「私のために書いている」以上、私は誰より「楽しんで」いるはずです。私は誰よりも「先を見たい」はずです。そして私は「一番先にそれを見る権利を持っている」わけです。つまり、その状態が続いているのであれば、必ず最後まで書き続けられるはずです。誰よりもその物語のTHE END終わりを見たいはずですから。

そのためにも、「私は私のためにこの物語を書いている」と胸を張るのが大切なのです。

「その物語」は何のために書いている?

これも「読者のために」なんて言ったらスットコドッコイです。読者は「モノ」じゃありません。何のためにって言ったら、それは「私の妄想を満足させるため」「私の願望をかなえるため」「私の言いたいことを言うため」……おおかたこのあたりが的確なはずです。物語を書く理由というのは、あくまで「私の〇〇のため」なのです。正直になりましょう。

……であるならば、それは「目的」です。目的があるということは、そこに向かって動き続けられるという事です。逆に言えば、「目的=物語の主眼」にしたほうが、「書き続けられる」ということになります。妄想垂れ流し——大変結構じゃないですか。

「目的」がなければ「達成」もないわけです。「達成」がなければ「楽しさ」も生まれません。

私はしばしば仕事のスタンスとして「目標・成果・評価」というのを挙げます。それはまさに前述の「目的・達成・評価(楽しさ)」です。目的を達成して、それが楽しさにつながる。「楽しさ」というのは湧いてくるものではなく、主体的に能動的に作り出していくものなのです。この真実をわかってない人がたくさんいるように思います。「楽しさ」は与えられるものではなく、「自分で作る」「自分で掴みに行く」ものなのです。

これができるようになると、自分でどんどん「楽しさ」を創発エマージェンスできるようになるわけですから、もう自家発電状態になれるはずです。

長編を「書き続ける」ために必要なもの

さて、上記は「一つの長編」を完成させるために必要なもののお話でした。今度は「いくつもの長編を完成させていく」ために必要なものです。

時間と体力を確保する

何をするにしても絶対に必要なもの……それは「時間」と「体力」です。一日1時間、土日は3時間程度確保することができれば、一週間で11時間確保できます。1時間で3000文字書けるなら、一週間でだいたい3万文字は書ける計算になります。とすれば、1ヶ月で12万文字程度。余裕でコンテストレギュレーションを満たせます。1時間で3000文字書けない人は、まず書けるようになる所まで執筆スキルを上げましょう。

ポイントは「毎日書く」ことです。忙しさやらなにやらあると思いますが、本気で執筆したいというのなら、「書かなきゃ寝られない」くらい習慣化しましょう。

自分の作品生成能力を知る

1時間あたり何文字書けるか。それは作品によって異なるとは思いますが、自分の平均値くらいは知っておくべきです。書き始めと書き終わりの時間をどこかにメモっておいて、執筆した文字数を時間数で割るだけ。ちなみに私は3000~4000文字/時間です。ゆっくり書いたな、くらいで3000文字です。1時間3600秒あるわけで、キータイプは20000打/1時間を超えるはずです。変換等加味しても、頭の中に完全に映像があれば、5000文字くらいはいけるんじゃないでしょうか。

ともあれ、これより遅くても問題はありません。その分時間をかければ良いからです。大切なのは「どの程度時間をかければ良いか」を知ることです。これを知らずにやみくもに書いていても、先が見えなくて苛立ちや焦りが先に立ってしまいます。まずは自分の現状の能力を把握しましょう。

週間目標、月間目標、年間目標を立てる

自由になる時間、自分の文章生成能力の二つが分かれば、あとは「どのくらいの期間で1作品(≒10万文字)書けるか」がわかります。そうしたら、それをもとにして、「週間目標」「月間目標」を立てます。たとえば「6月中に一作品書き上げる(月間目標)」「そのためには1週間25000文字書く必要がある(週間目標)」のように。

1時間2000文字書く能力があるのだとすれば、1週間に13時間確保すれば良いことになります。簡単です。月~木:1時間×4日+金~日:3時間×3日=13時間。また、1時間3000文字書けるなら、僅か9時間/週でお釣りがくる計算になります。一週間で9時間10時間が捻出できないようなら、長編は保留した方が良いかも知れません。

プロット半月+推敲半月かけるとしても、2ヶ月で1作品(≒10万文字)が書けてしまうという計算になるのです。すると「余裕みて、年間5作品書く(年間目標)」が立てられます。

「目標」なしに「成果」はありませんし、「成果」なしに「評価(楽しさ)」は得られません。なので期間目標は必ず立ててください。

書き終えることを最優先目標にする

長編を書いていると、必ずと言っていいほど「筆が進まない現象」が発生します。しかし、ここで諦めたら試合終了です、文字通り。何が何でも「月間目標」をクリアしてください。「週間目標」は多少ズレても構いません。序盤に飛ばしても良いし、後半追い上げても良い。でも、「月間目標」だけは必ずつじつまを合わせるようにして下さい。これ、仕事でも一緒ですよね。月間目標の達成の積み上げなしにはボーナスはもらえません。

そして、こちらの記事でも書きましたが、「作品を完成させること」が何より優先されます。

100作書き始めても100作エタってるなら何もしてないのと同じです。


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完成させて、完成させて、完成させる

上記の引用のように言われたくなければ、とにかく完成させることです。完成させることが目的であり目標なのですから、これを繰り返せば繰り返す程レベルが上がり、生産効率もあがり、「自分満足度」も上がります。自家発電の効率も当然よくなります。

まとめ

「長編を書き上げる」「長編を書き上げ続ける」、それぞれに必要なポイントをまとめてみました。過去に「カクヨム」や「小説家になろう」のみならず、いろんな場所・方法で何十(あるいは三桁)と完結させてきた私が言うのですから、ある意味では必ず正解のはずです。それが対外的にウケる(=評価される)か否かは別として。

評価されたいのだとしても、あるいは書籍化するにしてもですよ、前述の内容については間違いなく必要なはずです。じゃなければ納期も品質もモチベーションも担保できないからです。そんな人の所に仕事は来ませんし、そもそも計画的に(継続的に)書けない人に「読者」はつきません。

という感じです。

さて、今回の記事は参考になりましたでしょうか。

それでは良き執筆ライフを!

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